WETSUITSの話

一気に秋めいてきましたね。と同時に毎年冬のウエットスーツのオーダーフェアが始まります。

体を信頼のおけるサーフショップで測り、自分の体形にぴったりのスーツを作る。プロショップでは当たり前の儀式である。


しかし最近のにわか波に乗る人(あえてこう言う、サーファーとは呼べない方たち)は、雑誌であたかも最高であるかのようにブランディングされたウエットスーツを洋服感覚で、MとかLLとかで買う。夏の海では通用するかもしれないが、冬の海では天と地の差が出る。


写真は、毎年毎年送られてくるその年のウエットスーツの生地見本。快適に、柔らかく、人体にいい影響を与えるために、毎年改良され、新しい生地ができる。日本の作り手たちの弛まない追求によって、世界最高峰のスーツができる。

元来海外では、体を測ってウエットスーツを作るという概念がなかった。世界で最初にサーフィン用のウエットスーツを作ったのはO'NEILLかBODYGLOVEか論争はつきないが、今では外人のライダーたちがこぞってMADE IN JAPANでカスタムオーダーしてくる。


商業主義の欧米文化で大量生産されているスーツの広告塔のライダー達も、実はそのメーカーのカスタムオーダー品を着ているのだ。

それが日本製!日本でしか作れないのだ。更に、日本の技術で独自に開発された生地や、アイデアを振り絞ったカット(パターン)による伸縮率の向上、耐久性の向上、そして何より保温性の確保。アジアのどこかで作られる既成サイズの大量生産とは根本的に違う。だからそれに見合った価格は出しても損はないと思うのが、本物サーファーではないかと思う。本物とはライフワークにサーフィンがあり、その一瞬がその人にとって人生である人たちだ。上手い下手ではないと思う。


最近、都心部ではPROSHOPが激減している。だが量販店のアルバイト君に説明受けても本当のところは知らないし、商業主義の大手様には安くてそこそこの日本製で客を呼んだほうが面倒くさくない。PROSHOPの最新物はスーツの扱いから、脱着まで説明がいる。しかし、そこには別次元のスーツが存在する。何も知らずに、雑誌で人気のブランドものという概念でえらべば、知らぬが仏のなんちゃらである。


サーフィン歴20年30年になると、皆体型も変わってくる。太る人が殆どだが、走りこんで痩せてくる人いる。そのたびに測り直し、一期一会の自分だけのスーツができる。素晴らしい!たまに中肉中背の人が、僕は標準体型なので吊るし(既製品)でいけちゃいますっていう人がいます。確かにゴムだから伸びるし着れちゃいます。そこそこOKです。でも、そこそこなのです。まず、決定的に吊るしのスーツは自分で色も決めなければマークの場所も色も他の人と一緒。なんかつまらない。更に言えば、そこそこ体形に合っているが、無理がかかっているところが当然ある。そこの縫い目はほかより付加がかかり、経年劣化と共に早い段階で糸がゴムを切り浸水が始まる。だから、実は早い段階で保温力が落ちるのです。


レジャー化したサーフィンですが、それでも続けるとなんか違うことが解ってくるはず。そんな時は、全国のプロショップを訪ねてみてください。目からうろこなことがたくさんあるはずです。ショップのオヤジは武骨に見えるでしょうが、実は優しくシャイな人が殆どです。何よりも本当に良い物を知っています。最近のショップの親父はみんな丸くなったので、予算に合わせて説明してくれるでしょう。


サーフィンがライフワークになりかけている人は、是非その違いを体感してはいかがでしょうか。